a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE. (2007) - とにかく凝る作品。

庵野秀明監督。タイトルからして表と裏がありそうな作品である。そして実際にそんな感じのシナリオである。 このシリーズは、とにかく凝る作品である。それなのに凝って作ったであろうシナリオの核心の部分を隠し続けて、大して内容の変わらないリニューアル作で稼ぎまくっているシリーズである。そのリニューアル作の第一章がこちらで、全部で四部作とのこと。しかし、私は、今迄の経緯があるので、四作目の後に五作目とか持ち出すのではと思っている。

人間は、ストーリーを読む際にその結末を知りたがる。その精神的な力はかなり強力なもので、ストーリーが謎である程に強くなる。EVANGELIONシリーズがここまで人気なのは、ひとえにストーリーが素晴らしいからであって、結末を隠して派生作ばかり作っても視聴者に見捨てられないのは、結末や真実を知ろうとする人間の精神性が勝手に誘導しているものだ。

取り扱うテーマは人間の孤独で、実際は非常に泥臭い作品群である。私が個人的に驚くのは、その描写のために性や母性などのモチーフをなんのためらいも無く使用する点である。これはリスペクトである。実際に、エヴァンゲリオンコクピットLCLで満たしているということは、コクピットは母親の子宮のことで、LCLは羊水で、故にエヴァンゲリオンは母親を暗喩していると、私は直感している。そのうち、とうとう別のシリーズで「エヴァの中に母さんがいる」みたいなことをチルドレンが言うものだから、おそらく私の直感は正しいだろう。

もうひとつ驚くのは、時おり生命科学の単語が出て来るのだが、その使い方が的確である点だ。「ホメオスタシス」という単語が出て来てくる。これは相反する二つの作用をひとつの体内で恒常に維持する性質として生命科学で使用することがあるのだが、まさかアニメで出て来ると思わなかった。しかも、より短い文章で的確に使用している。制作者の学識が、一般的なレベルを遥かに上回っているのである。

これがよくあるワイド劇場の検死シーンなんかの台詞だと、ダメだ。おそらくWikipediaからのコピペなんじゃないかと思うような棒読みの長い台詞で、間違いだらけで聞いていられない。