a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

The 6th Day (2000) - 21世紀に対する不信感があらわな作。普通。

Roger Spottiswoode監督。

実際の歴史背景として、1997年にクローン羊のドリーが誕生し、2000年にはヒトゲノムが解読された。そのため、2000年とはヒトのクローンが作成できて、さらにはその遺伝子をenhance(改良、増強など)できることが事実上可能であることが公になった年のはじまりでもあった。

本作では、そのヒトのクローンが”Sixth Day” lawsによって禁じられている2010年の近未来についての話である。クローンには法的相続権を認めていない世の中らしく、その点がクローンのバイオ企業社長の私利私欲の道徳を超えた動機につながり、主人公がそれらに巻き込まれたというシナリオである。

シンディ人形という、なかなかに悪趣味な玩具人形が出て来る。ETみたいな肌をして、目つきが非常によろしくない。クローンの画一的な不気味さを象徴する小道具なのだろうが、あまりにも不気味である。21世紀に対する不信感があらわである。

全体を通して、進化とともに確実に人間性が退化して行く社会を、本作中に描いている。その点もよし。

ただし、映画の撮り方は特筆すべき点はなかった。

“Have a nice flight, girl”と言わせるショットが良い。緊張すべき戦闘のシークエンスに唐突にはいるギャグが、アメリカ映画のよいところである。