a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

the Whole Nine Yards (2000) - 客のよろこぶ所を知っている。

Jonathan Lynn監督。

軽妙な映画。採用する映画音楽が良いと感じた。ジャズの音楽の使い方を非常によくわかっているような作品。

なかなかに面白いコメディーである。鑑賞者の求めるような結末を巧くつかんでいる。すなわち、哀れで正直者の歯科医には、論理的に道徳観念とはほど遠い、ほとんど救いようのない悪妻をおく事で、歯科医に同情をさせる。歯科医が自らの努力によってその状況を克服するというよりは、偶然性とコメディーの力によって幸福をもたらすような帰結にしている。一方で、17回人を殺して無罪放免となった殺し屋には、「友達の女は抱かない」といった義理人情を見せることで、道徳的にかなった人間にしたて挙げる。美徳のある人間を無意味の殺すと、観客が怒る。彼は自らの努力(もしくは才知)によって幸せを掴んでいくシナリオとなっている。

結末として以上の二人が幸せになるのだが、観客がどうして二人が幸せになる結末で納得するのか、上記の例からわかるとおり制作者はよく理解しているようである。であるから、この映画は優秀であると感じる次第であった。