a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

1960年代 普通 (好みで)

Anticipation (1967) - 『アルファヴィル』から『中国女』へ。

Jean-Luc Godard監督 『愛すべき女・女たち』に収録される六番目の作品。以前公開された『アルファヴィル』の手法を用いて、のちの『中国女』以降に続く政治色が反映された内容である。この政治色によって、他の5つのオムニバス収録作品とは一線を画している…

Paris Today (1967) - 娼婦救急車

Claude Autant-Lara監督 『愛すべき女・女たち』に収録されている五番目の作品。薬品棚にウイスキーを陳列し、街を歩く医師を誘惑し、娼婦の救急車が走っていく様が面白い。

The Gay Nineties (1967) - 映像と音楽の融和

Michael Pfleghar監督 『愛すべき女・女たち』に収録されている四番目の作品。音楽に合わせるために映像が所々に小停止し、音楽に映像が随伴するコンセプトで、音楽と映像の融和が楽しめる。短編であるところを、ストーリー全体を丁寧に描いている。

Mademoiselle Mimi (1967) - ジャンヌ・モロー

Phillipe de Broca監督 『愛すべき女・女たち』に収録されている三番目の作品。ジャンヌ・モローといったらまず『マドモアゼル』が思い浮かぶ。本作はそれが軽妙な、街の短編ドラマに仕立てられた印象もある。

Roman Nights (1967) - 古典的

Mauro Bolognini監督 『愛すべき女・女たち』に収録されている二番目の作品。オムニバスの英題は「The Oldest Profession」、これは娼婦を指すのであるが、本作では将軍の妻が娼婦だったという軽妙なオチである。王道的という意味でも、軽快である。

Prehistoric Era (1967) - 衣装が安っぽい

Franco Indovina監督 『愛すべき女・女たち』に収録されている一番目の作品。全体を通して音楽が映像に軽妙さを加え、内容も軽い。古典的で、観客も軽い気持ちで観ることができる。衣装やセットが安っぽく、難点である。

You Only Live Twice (1967) - スケールが大きい

Lewis Gilbert監督 SFが進歩的で面白い。今回の作品は火山がある国であればどこでも良かったように感じるが、それでも舞台が日本であるのは光栄なことだ。

Thunderball (1965) - スケールが大きい

Terence Young監督 今回の作品は大西洋の浅瀬に沈められた戦闘機を探すといったもの。ヘリコプターを用いたロケーション撮影を含み、スケールが大きくて良い。

From Russia with Love(1963) - 秘密道具

Terence Young監督 物語冒頭に紹介される秘密道具が、物語の伏線となるスタイル。

Goldfinger(1964) - 黄金期

Guy Hamilton監督 『007』シリーズの3作目である。アストンマーチンとロールスロイスが山間でカーチェイスを繰り広げる、まさに映画の黄金期である。この黄金期というフレーズ、映画においては潤沢に資金をかけられてかつ表現の可能性をより探求できる時期の…

007 Dr.No (1962) - 時代柄

Terence Young監督 時代柄な悪役が登場するので、社会派なアクション映画ともみれる。ドラゴン戦車の炎の射程を見誤ったのか、あの場面で命を散らした味方がなんとなく不憫ではある。

夜明けのうた(1965) - すばらしき群像

蔵原惟義監督 岸洋子のヒットシングルを主題にしながら、群像を描いた。落ち目の女優と失明しかかっている女が登場する。この二人の対比構造があまりにも明瞭であるから、観客として私はすんなりと映画の世界に引き込まれて、映画の発するメッセージも受け取…

BLUE HAWAII (1961) - ハワイに行きたくなる

Norman Taurog監督 Elvis Presleyの"Blue Hawaii"の曲とたくさんのアロハシャツが観れる映画だ。私はまだ行ったことがないが、本作を観るとハワイに行きたくなってしまう。

Le Vent d'est(1969) - 一人称と相補関係

Dziga Vertov Group監督 Anne Wiazemskyが告白する。告白の方式を持つスクリプトに、必ずしも内容が一致はしないけれどもスクリプトを視覚的に補う関係を目指すショットが対応する。この主観と客観の間の立場にあるフィルムを観ると、文章だけでは伝えること…

The Diary of a Chambermaid (1964) - 閉塞

Luis Buñuel監督 オクターヴ・ミルボー、ピエール・ルイス、ユイスマンスなど読書家で会ったBuñuelがミルボーの小説を映画化した。本来一人称で会った作品を、冒頭の数ショットによって見事に三人称へと変形して、以後は昆虫学を修めた彼らしい独自の解釈も…

The Little Soldier (1960) - 普通

Jean-Luc Godard 監督 後にいわゆる政治色を強めることになる彼の、思想的原点が見てとれる。 残念なことに私には基本的に退屈な映画であったが、それはたとえば『中国女』のように主人公たちが政治に当事者意識を持っているわけではないからであり、今回のA…

La Chinoise (1967) -

Jean-Luc Godard監督 今回うまいと感じたのは、イデオロギーを描いているようで描いていない、つまり映画に於いてイデオロギーを描くという過ちを犯すことは避け、あくまでもイデオロギー下に置かれた個人に焦点を当てたまっとうな映画である点だ。もちろん…

My Life to Live (1962) - 人生観のつまった爽やかなテイスト

Jean-Luc Godard監督 10を超える章に分けて、それぞれに置いてストーリーに付かず離れずの独立したテーマを設けている。それぞれは独立しているが、「映画好きの人生」という意味で相互に連関し、違いのテーマの重要性を高めあっているように私は見た。もっ…

Common Law Cabin (1967) - 普通

Russ Meyer 監督 いたって普通の作品。

Ivan's Childhood (1962) - 撮りたい画のために何でもやった。

Andrei Tarkovsky 監督 タルコフスキーはしばしば詩的であると言われるけれど、映像の詩人であることの由来はその自由さにある。もっとも映画の制約から自由になろうとする意思の強かった監督、と言っても差し支えない。水面に焼夷弾の当たる絶妙な光具合と…

青春残酷物語(1960) - りんご

大島渚監督 提示されているテーマがあまりにも明瞭で、結末のシークエンスが予想できてしまうのが玉に瑕だ。それはタイトルがあまりに強力すぎることも加担しているのだが、かといって代替案になる名称も思いつかない。それほどに青春の残酷さをテーマとした…

The Birds (1963) - おそろしい鳥の大群を観る。

Alfred Hitchcock as director 私はどうもLove Birdの存在が気にかかり、実はLove Birdが鳥の大群をおびき寄せているのではないかと思ってみていた。逢引する口実として持ってきたわりには、最後の最後まで主人公たちのそばに付いてまわっていたのがこのLove…

Mademorselle (1966) - リアルな被写体を観る。

Tony Richardson as director cinema scopeの使い方や、切り返しショットの効果を理解されずに撮影されている。映画として残念なことである。移動撮影も無く、全体を通して単調である。 一方で、リアリズムに根ざしている点だけが、映像を詩的なものへと変容…

Persona (1966) - ベイルマンの実験映画を観る。

Ingmar Bergman as director 人間の二面性を追及し、特徴的なショットを作った。それは後半に登場する、二人の女の顔を半分でつなげるシーンであり、『Repulsion』で出てくる音楽を彷彿とさせる演出がされている。本来ありえない写真について、その異質さを…

Un homme est une femme (1966) - フランスらしい即興演出を観る。

Claude Lelouch as director カラーと白黒のシークエンスが混じっており、その使い分けをどのように定義しているのだろうと不思議に思っていた。実は、これは経済的な理由であって、屋外はカラー、室内は白黒と決めていたのだそうだ。経済的には制約があった…

Week-end (1967) - 現存する中で最も天才的である映画を観る。

Directed by Jean-Luc Godard 軽快さと清涼感のある即興演出にも似た作りを持つにも関わらず、その表現する内容は他のあらゆる映画の追随を許さない。Godardでしか起こらない現象が、本作において最も凝縮して堪能することができる。 例えば、現代音楽は絶望…

8 1/2(1963) - 後代への圧倒的な抽象的構造の影響力に対して。

Federico Fellini監督。 大画面で観たい映画。演者がうしろを向いた状態でふりむく構図を豊富に含んでいる。映画のストーリーはすべて具体的なものかと考えており、500作品以上を続けて観ているとそのために映画の可能性について多少飽きてきたところで、…

Belle de Jour (1967) - ユーモアを観る。

Lusi Bunuel as director 映画として問題のある箇所が無い。シュールレアリストとして世に認められた、もしくはそう世間に認識されてしまった人間だけあって、監督の放つ独特なショットはシュールでユーモラスにすら感じる作品である。突然レストランで机の…

Winter Light (1963) - 表情の仮面を観る。

Ingar Bergman as director 女の表情は仮面である、という鋭い考察を演者にしゃべらせ一途な女の性を描く。本作の監督の演出は、その定義を曖昧に置いておいたとしても、もっとも映画らしい。小説でもやらなければ、音楽にも不可能な領域で、かつ映画でしか…

Repulsion(1965) - 不協和音の正しい使い方を観る。

Roman Polanski as director カトリーヌ・ドヌーヴがどうして圧倒的な主人公級女優であったのか、本作から読み取ろうとした。『インドシナ』『昼顔』でも感じた、男から無理やりにでもキスされてしまう確率の多さ。精巧に整った容姿で他者を排斥し寄せ付けな…