a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

The MASK (1994) - さあ、クラブCoCo Bongoへ。

[レビュー開始初期の執筆なので、気取って書いた箇所が含まれていると思われます。 あえて修正せずに残しておきます。追記2014.10.21] Chuck Russell監督。 女優も非常にきれいで、俳優も演技がうまいコメディアン映画。主役二人は、ともにこの映画が出世作となり、現在も活躍するスターとなっている。ジム・キャリー Jim Carryとキャメロン・ディアス Cameron Diazである。

男女の情念という観点から作り上げたこの映画は、コメディー映画として相当うまく行っている。ストーリーはこうだ。 イプキスは、せっかく苦労してとったチケットでデートに誘うも、うまい具合に女に丸め込まれペアのチケットを貢いでしまうような「優しすぎる」男である。

そこに、超絶美女がお客様として現れる。彼は、彼女が勤めるクラブCoCo Bongoへ行きたいが、入る事ができなくて、つまみ出されてしまう。

クラブの帰り道、川に人がながれているのを見て驚いて助けに行くと、ただの漂流しているゴミである。なんてことだ! どこまでも優しさが空回りする彼。ずぶぬれになり途方に暮れているところでゴミに混じって見つけたのが、木製のマスクである。 このマスクを付けると、さまざまなファンタジックな超能力が身に付いた緑の顔をした人間になり、自分の欲望の思うままに何でも出来る。どうもスーパーヒーローになれるようである。

彼は、マスクを持って、超絶美女にアプローチすることが出来るのか。

この内容は、まさにアメリカンドリーム。アメリカンドリームとは、「なんでも自分の好きな物を手に入れることが出来る、という状況」への渇望である。中国風に言えば酒池肉林。マスクを被ることで、自分がやりたい事をなんでもファンタジックに「実現」できるので、マスクこそアメリカンドリームの象徴だ。

そこに、さえないヒーローが活躍していく過程は、ハリーポッターシリーズが興行収入を非常に得た過程と似ている。

何かの能力を得て、その人物が本来持っているが、周囲に価値が認められていなかった美徳があらわになっていくという過程である。その美徳は才能であったり、本作に限って言えば、賞賛できる性格であったりする。たとえば、勇気であったり、優しさであったり。

この映画の最もすばらしいところは、イプキスの空回りするほどの優しい性格が、それ自体を美徳として、アメリカンドリームの象徴に打ち勝つ。詳しく述べれば、アメリカンドリームのとはマスクのことで、何に勝ったのかといえば、超絶美女の選択に勝ったのである。つまり、素の状態のイプキスのやさしさが、超絶美女のハートを射止めた。

これは、アメリカンドリームというものが、手の届かない代物ではなく、常にあなたの心の中にあるということを示していて、この構図が世界中の人々の心を打ったのは、言うまでもない。

性格の優しさを信奉して、おそらく沢山の一般人を勇気づけたことだろう。というのも、多くの人がこの手の葛藤をかかえているであろうからである。 出世するためにやさしさは美徳なのかという反省を、誰もが一度はしたことがあるのではないだろうか。

私も、クラブCoCo Bongoへ行って、やさしさは美徳なのだと再確認しに行きたいものである。