Mack Scennett as director
今の時代に観ても新鮮だと言えるほどの面白い脚本である。主人公とされる女主人公のTillieが、醜いように描かれていて、そのまま醜いまま終わる展開に魅かれるのである。これは、意味上の主人公はChaplinとMabelであるように観えなくもないほど、徹底して価値下げされた人物像であった。つまりはファッションから漂う野暮さと、無知である。この哀れな娘が富豪の娘であることに着目して、Chaplinが金を盗む動機が生まれるのであるが、もう一つ魅力的な展開は、最後にはChaplinが去り彼女とMabelが仲良くなるところにある。良く観るとMabelの方は必ずしも相手を抱き寄せてはおらず、言葉でうまくごまかしたのか、やはり感じるのはTilleの無知な浅はかさによる行動と、そこから発生する徒労感である。
これらを長編として観客には飽きが来ないようにまとめてあり、そのバランスが良い。