a-moviegoer’s diary

2014年から1日1本の映画を観ていて感想を書き溜めています。そして今年通算1000本を観ました。これからも映画の感想を溜めていきます。東京都内に住んでいます。

2010年代 普通 (好みで)

Interstellar (2014) - ブラックホールから交信するのは、もはやSFではなくファンタジーである。

Christopher Nolan監督。 『ダークナイト ライジング』も製作している監督であるが、どうにもぱっとしない画面しか撮らない。画面を構成するための技術は、移動、パン、ティルト、ズームの四種類をどのように組み合わせるかに分類される。もし静止させるので…

Jersey Boys (2014) - 安定的なカメラワークの技術水準を魅せる。

Clint Eastwood監督。 それぞれのショットはいずれも動的で、アングルは前のショットとは微妙に高低差があり、かつ俯瞰ショット、背後から撮るショット、歩いている主人公をカメラ移動、車のパン撮影もきれいに撮れていたし、全体的に技術水準の高さを感じた…

The Double (2011) - ベテラン二人の白髪は、観るものを動揺させる。

Michael Brandt監督。 Richard GereとMartin Sheenが並んでいる正面ショットを見た時、おもわず感動した。綺麗な白髪をもったカリスマ性のある男がふたり並ぶショットはあまり目にかかることが無いためである。そして、その画はかなり映えるのである。

かぐや姫の物語 (2013) - ふわりと舞う跳躍は、アニメでなければ表現し難いか。

高畠勲監督。 アニメーションが映画において絶対的に優位であるのは、跳躍の表現である。ただし、直線的な飛翔であれば、CGにおいても優位性は認められる。しかしながら、単に高速で飛ぶことと、跳躍ということの動的な意味合いは決定的に異なる。地面から出…

Born to Raise Hell (2010) - パーカー着てSEXする謎のセガールおやじ。

Lauro Chartrand監督。 女と男がいちゃいちゃするのだが、女は全裸なのに男は黒のパーカーを着たままという謎な構図がある映画。こう、画面に対する美意識というものの絶望的な不在を感じる。 麻薬取締の警察官と、麻薬密売人が銃で殺し合うという、通常のス…

Rompecabezas (2010) - 非日常ぐらいは誰にも干渉されずに守らんと。

Natalia Smirnoff監督。 アルゼンチンの映画だからといって、他国と特別変わっている点はない。特に、ある主人公の日常を描き、その日常の中にひそむ虚無を浮き彫りにしていく過程は『SOMEWHERE』との類似点を感じる。つまり、ストーリーとして根底としては…

ルパン三世 血の刻印 ~永遠のMermaid~(2011) - こういう映画に出る悪役は、なぜノーベル賞をとろうとせず軍事転用ばかりしたがるのか。

滝口禎一監督 東京を舞台にしている、ルパン三世の派生映画である。出来は普通だ。それにしても本作にでてくるマキという人間、あんな賭け値なして純朴な女がいるだろうか。男が好き勝手につくった典型的なキャラクターのように感じる。 ところで、よくある…

ルパン三世 princess of the breeze~隠された空中都市~(2013)- とんな技術不足。

金崎貴臣監督。 ストーリーにしても、アニメ技法が優れる跳躍の描写も、まったく不足している。まず作画があちらこちらと不自然である。 まず、人物の移動やその軌跡から生まれる効果を理解していない。所詮この程度かという感じである。 ただ商業的なイメー…

Any Day Now (2012) - 本作のように実際に障碍者を演者として器用すべき。

Travis Fine監督。 作品のカメラワークはまだ未熟だけれど、興味深い作品。なぜなら、作中にゲイ(これは演じている)とダウン症の演者が登場する。ダウン症児であるMarcoを演じるIsaac Leyvaという人を私は知らなかったが、本作の状況にやや感動した。 映画に…

La vie d’Ad?le (2013) - そこまで良くはないだろう、スピルバーグ。

Abdellatif Kechiche監督。 助演は『ミッドナイト・イン・パリ』、『美女と野獣(2014)』などの出演で知られるLéa Seydouxである。主演はAdèle Exarchopoulosである。彼女は私はあまり知らない。 本作の主眼は通常のレズもの映画、すなわち片方はレズ経験者で…

Melancholia (2011) - 前半のけだるさが良い。後半は意味不明である。

Lars von Trier監督。 監督の作品は、かならず部が別れている。オペラの影響を受けているのだろうか。 冒頭に登場した絵画は、『惑星ソラリス』でも使用されていた。多少なりともA.Tarkovskyの影響があるものと思われる。 第一章では、ながながと続く披露宴…

The Dark Knight Rises (2012) - 時代錯誤のコスチュームをした悪役たち。

Christopher Nolan監督。 アクション映画の前提とは、戦闘するという行為である。その闘いのためには、話し合いの効かない相反する敵対勢力が必要であるが、何について背反するのかという火種も必須になる。結局のところ、アメリカにおける民族主義的なテロ…

あなたへ(2012) - 日本のノスタルジアといえば、これ。

降旗康男監督。 北野武がキャンピングカーをのりまわす。 日本の任侠映画界を類希なる才能で牽引してきた高倉健が、これほどのノスタルジアにひたっているのかと、新鮮になる映画である。『網走番外地 北海篇』では刑務所から仮釈放されたやくざとして車を走…

The 12 Disasters of Christmas (2012) - 不思議な自己完結ものがたり。

Steven R. Monroe監督。 征服されたものの恨み、という題材もアメリカにおいては星の数ほど映画がでている。例えば『Mothman』では先住民族の恨みがストーリーの根幹になったが、本作ではマヤ文明がアメリカ大陸において征服されたことへの文化的な恨みが発…

One Day (2011) - 7月15日は彼女たちの記念日。

Lone Scherfig監督。 ある男と女の恋愛的な半生を、一日ずつの断片で長々とみせていくという映画。その二人に興味がもてなければ、至極退屈な映画となってしまう。主演のAnne Hathaway、Jim Sturgessともに役にはまっているので、退屈ではなくおもしろい映画…

The King’s Speech (2010) - 吃音の克服なるか? 音楽の使い方が典型的な映画。

Tom Hooper監督。 本作は主人公が吃音を克服し、宣戦スピーチを行うというストーリーである。最後にスピーチを行うシーンがあるが、戦争という生々しい邪気が発せられるという不穏ではなく、正確にスピーチすることができたという喜びが勝って映画が終わる。…

Limitless(2011) - 頭が良くなった末の職業は、大統領なのか?

Neil Burger監督。 神経の受容体を活性化させる薬を飲むことで、頭の回転が非常に早くなる。すばらしい投資家を目指して行くというストーリー展開である。この場合、他の数多くの作品と同様に、ストーリーの可能性は空想上の薬によって引き上げられることに…

SOMEWHERE (2010) - 映画音楽が秀逸。Elle Fanningの配役が完璧であった映画。

Sofia Coppola監督。 車が画面の外から画面の中へと入って行く構図は、良く観られる。冒頭に入れるもので有名な作品は、A.Tarkovskyの「ノスタルジア」である。もっとも、本作はスポーツカーが案外と多く描写されているのである。 ひとつには、映画音楽が良…

Black Swan (2010) - ママの鬼電話と、娘の幻覚。

Darren Aronofsky監督。 電車の中に気持ち悪い男が居たが、稀にみる気持ち悪さであった。 バレエの主役に選ばれた女の人の、主観的な幻影を描いた映画である。 音楽には二種類あり、現実世界の日常に流れている、生活の中の音楽を再現する場合と、感情を惹起…

アウトレイジ(2010) - ストーリーの変化は、もはやプリズムを見ているかのよう。

北野武監督。 いくつか映画の音楽と空間について。 まず音楽の開始は、ストーリーの展開に数秒先立つ。ストーリーの展開や、映画世界内での位置が大きく変わる際、ある特徴的な音楽を流すことによってその移り変わりを印象づけることが普通である。本作にお…

La Belle et la B?te(2014) - CGで蘇る美女と野獣(多少ライオンに見える)。

Christophe Gans監督。 久々に映画館で観た作品。 フランス民話として有名な「美女と野獣」が映画化されたもの。但し、ディズニーアニメの「美女と野獣」のイメージの方が先行しているかもしれない。また、Jean Cocteauによる「La Belle et la Bête(1946)」…

Sherlock Holmes: A Game of Shadows(2011) - 次世代型HolmesとMoriartyの闘技。

Guy Ritchie監督。 画面の切り替えがめまぐるしすぎて、何を映しているのか直感的にわからない。情報過多である。音楽の使い方に関しては圧倒的にへたくそである。音楽を常に流して、こてこてしすぎなのである。また、ストーリーの展開の仕方が微妙に断絶し…

Independence Day-saster (2013) - 低予算なのが残念。

W.D.Hogan監督。 一般人の青年や女の子であっても、大統領と一緒に納屋で地球防衛を行える。なんともアメリカらしい物語の持って行き方である。本部でふんぞりかえっている副大統領と対比して、勇気をたたえる描写であある。 ただ、ストーリーは面白いと感じ…

Resident Evil: Retribution (2012) - 渋谷、モスクワ、ニューヨーク。

Paul William Anderson監督。 この監督は「バイオハザード」シリーズだけ作るだけで将来が超安定なのだが、ひとつのシリーズに製作期間をずっととられ続けるというのも、監督として複雑なものであろう。別の作品ももっと精力的に作りたいのではないだろうか…

Resident Evil: Afterlife(2010)- スローモーションの技術作。

Paul W. S. Anderson監督。 娯楽映画。世界中で受けているので、グローバルなバイオレンス映画といえる。 毎作世界中で大ヒットを飛ばしている作品の四作目。日本では「バイオハザード」という名前で有名になっている。 ARCADIAという場所について、錯綜した…

The Expendables(2012) - はい、続編です。

Sylvester Stallone監督。 The Expendables (2010)の続編。さしたる特徴はなく、一作目で述べたことと思ったことはあまりかわらない。

The Expendables(2010) - ジョーク好きなアクション。

Sylvester Stallone監督。 StalloneとSchwarzeneggerの仲がよろしくない。シュワちゃんがスタローンに「今後めしにでもいこうぜ」と誘って、いつにするんだと丁寧に返したら、「1000年後はどうだ」と。 結局、男が敵に立ち向かおうとするが途中で意志が途切…

Midnight in Paris (2011) - 心晴れやかになる、パリの恋愛とタイムトラベル。

Woody Allen監督。 パリに憧れる作家と、その婚約者がパリに来て、ファンタジーが起こるという内容。 その作家と婚約者は、肝心なところで意見が食い違っているようなありがちなカップルである。 パリでタイムトラベルするという内容で、たのしく観れる。 話…

アウトレイジ ビヨンド (2012) - 大衆娯楽としてなかなか、スーツを観る映画。

北野武監督。 大衆娯楽としての作品としてなかなかの作品であった。娯楽としてのストーリーもよい。撮り方もよい。そして何より、配役たちのスーツと車の色取り取りさが良い ! そこで極言すれば、渋い配役たちのスーツの着こなしを眺めるための映画である。…

Faster (2010) - 「世界で10人しかできないというヨガのポーズが出来た」「はぁ ? (私)」

George Tillman, Jr 監督。 映画の時代性というか、iPhone3Gが登場しているので2008年から2010年あたりの時代の作品であることがわかる。単純に販売期間から推測できる。つまり、現代の物語であるよという意味なのである。 「世界で10人しかできないというヨ…